2014年1月17日

『All You Need Is Kill』

『All You Need Is Kill』
桜坂洋

ループ系SFです.

主人公のキリヤがループしていることに気づいたあと前向きすぎて,前半は感情が入らなかった.延々と繰り返す日々を崇高な目的をもって過ごすのとか無理でしょ?わけのわからぬままに,殺され続けて,発狂するのが通常だろう.ループに入り込む条件からしたら,そうは描かれていないものの,ループに陥る現象はありふれた現象に思える.怪電波を受信して,狂った人がいたという話も,おそらくループを抜けれなかったことによるものではないか?その点,キリヤは「意識高すぎて」ついてけない.

ループする時間というのは,我々の日常のメタファーなのだろう.目的をもって精一杯行きたら,延々と続く均質な日常も輝きを持って見えてくるってこと?キリヤとリタが梅干しを食べ合う場面とか,光り輝く日々という感じだ.『イリヤの夏 UFOの空』の大食い競争の場面とかを思い出した.

無駄な時間を過ごしている者にしてみれば,耳が痛い話だ.でも,日々が充実しているならループから脱出する必要あるのだろうか?

リタとキリヤどちらかしかループから抜けれないというというのは(理屈はよくわからいけど,SFなんで理屈重要),切なくはあるけど,私ならリタを殺さずに自殺する.どうせまた戻れるのだから.戻った上で,リタと一緒にループから抜けれる方法を模索すべきだろう.キリヤにとっては結局永遠にループし続けるのが幸せなんじゃねえの.目的を持った日々を過ごせてるのだから.

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