2013年12月29日

『消された一家―北九州・連続監禁殺人事件―』

『消された一家―北九州・連続監禁殺人事件―』
豊田正義
平成21年初版
新潮文庫

東電OL殺人事件』や『桶川ストーカー殺人事件』といった殺人事件に関するノンフィクションは人の行いの一方の極限を見ることができる.自分の生活と地続きのところで,恐ろしいことが起こっている.何かが間違えば,私も被害者になるかもしれないし,あるいは犯罪者になるかもしれない.

鬼畜の所業としか思えない.恐怖で人を支配し,家族同時で殺し合いをさせるなんてことが,本当に可能なのか?こんなことが現実に起こったのか.信じられい.

サイコパスなんて言葉があるが,こういう奴に関わらないためには,どうしたら良いのか.世の中,不条理だらけだ.サイコパスに見つけられたら,それはもう詰みなのだろうか.この男は,人の弱みにつけ込んでくる.そして,気がつけば逃げられなくなってしまう.最初に弱みを諦めれば,戻れなくなることはないかもしれない.しかし,生きるってしがらみを作ることだし,弱みをつくることだ.やっぱり,どうしようもないことなのかな.

巧みな言葉と暴力だけで,人をここまで操ることができるものか.いい方向に操れれば,優れたリーダーと言われるのだろう.人間の精神は,結構単純なものなのだ.人を操って,やりたくないことをさせるなんて,組織では日常的におこなわれていることだ.言うことを聞かなければならないと,いつの間にか信じこまされているから,従っている.従わなければ不利益があるに違いないと思っている;これは信仰だ.人を支配するって意外と簡単なのかもしれない.

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